木曜日。晴れのち曇りのち雨。もうすぐ8月になるにもかかわらず曇り雨が続く。蒸し暑い日々。辻 邦生・水村 美苗「手紙、栞を添えて」を読み始める。若草物語について、ここで語られる主題の受け取り方など、グレタ・ガーウィックの映画「little woman」を観ている限りではまったく感じ取れなかったことが書かれていておもしろい。

「若草物語」とは、「良い子」とは何か、という問いから始まり、「良い娘」とは、「良い妻」とは、と問い続ける小説です。しかもただしくない結婚をするくらいなら結婚しない方がいいという。要するに、女の子を一個の倫理的な主体として、まことに真剣にとらえた作品なのです。
説教臭がぷんぷんあふれる小説です。それでいて寝食忘れるほど面白い。「良い子」だらけの小説は退屈ですが、姉妹は「良い子」だけではないのです。「良い子」になろうと努力しているだけなのです。

若草物語が近代小説としての魅力にも富んでいるのは、姉妹の性格の書き分けではなく、姉妹一人ひとりがどうその「愚かさ」に関わるかを通じて、彼女たちの精神が個別化されているからなのです。

夜は1時間のzoomストレッチ。妻はイタリア語の授業もzomで参加していた。明日は振替休日。夕食はタコとマッシュルームのアヒージョでつくったスパゲティ。