金沢2日目。21世紀美術館は朝の開場直後から激混みでチケットを買うだけで50分待ち。でも実は事前にコンビニで発券できるというのはもっと知られてもいい。来場者のほとんどは21世紀美術館のブランドに魅せられてきた若い人がおおく、展示内容と客層の筋がそぐわない雰囲気があるが、興味を持っていない人にも未知の世界を見せることができる美術館の価値は、あとあとになって効いてくるもの。

「粟津潔 デザインになにができるか」。粟津潔について、もういちど興味を持ったのは、篠田正浩監督の映画で人形浄瑠璃などの美術担当していたことがきっかけ。それまでは強い興味をもつことがなかったのは、ベン・シャーンや横尾忠則、杉浦康平などの粟津潔が影響を受けたアーティスト、作家、デザイナーを知るにつれ、そちらほうが面白く感じられ、粟津潔はヴィジュアル表現の革新者というより当時の流行を後追いしたものとして映るようになっていたから(粟津潔は1929年生まれというのに!)。2019年の視点からみると、オリジナリティがあるようなないような、作品単体での印象ではその他多くの亜流に見えてしまっていた部分が自分にはあったところに、「社会をいかにデザインするか」という視点から、粟津のデザインの本質を明らかにするもの。という展示会の切り口は、これまでの見方を一新するものであった。図録があったらぜひ買いたかったが今回はなし。でも粟津潔作品にはまたすぐに出会うだろう。