90年代に60年代のカルチャーが面白いと思ったときの30年の時差は、現在においては自分が生きた90年代が該当するが、当事者としては当時のことはどんどんと記憶や興味が遠いてしまっているもので、ふりかえりたい気持ちもない。いまの興味は60年代をさらに遡り、50年代への興味が高まっている。シネ・ヌーヴォで特集上映中の野村芳太郎の映画がとてもおもしろい。2本鑑賞。移動中のカメラワークがみごとな「張込み」、若い岡田茉莉子のコミカルな声の演技が魅力の「花嫁のおのろけ」。結婚観の茶化し方などを見ていると、思っていた以上に50年代というのは進んでいる。女性専用車両もあったとは。ポスターは古色蒼然としているが映画はずっとハイカラですのよ。